台湾デルタ電子、Noda RF Technologies買収で半導体電源事業を強化

2025年10月29日、台湾のデルタ電子は、オランダ子会社Delta Electronics (Netherlands) B.V. を通じて、日本のNoda RF Technologies Co., Ltd.（以下、NRF）の株式90.23％を約50.24億円で取得すると発表しました。この取引完了後、デルタ電子は既に保有していた9.77％の株式を加え、NRFを完全子会社化することになります。

NRFは2002年に大阪で設立された企業で、半導体製造装置向けの高周波（RF）電源システムの設計・製造を専門としています。その製品は、エッチング、CVD、PVD などの主要プロセスに広く採用されており、液晶パネルなどのディスプレイ製造分野にも応用されています。RF電源技術は、半導体チップの歩留まりやプロセス精度を高める上で極めて重要な要素です。

一方、デルタ電子は1971年創業の世界的な電源管理・エネルギー効率ソリューション企業であり、産業オートメーション、データセンター、電気自動車充電、再生可能エネルギーなど幅広い分野で事業を展開しています。同社は近年、半導体関連電源市場への進出を加速させており、今回の買収により、NRFのRF電源技術とデルタの高効率電源技術を融合し、半導体装置向け電源ソリューションの拡充と顧客価値向上を目指しています。

取引の詳細

M&Aの目的と期待される効果
今回の買収は、デルタ電子が半導体製造装置向け電源分野の技術力と製品ラインアップを拡充し、顧客対応力を高めることを目的としています。NRFはRF電源技術において業界をリードしており、デルタ電子の鄭平会長は「両社の技術的強みと既存の協業関係を生かすことで、製品ポートフォリオの拡充と研究開発・市場両面でのシナジーが期待できる」と述べています。主な期待効果：

企業概要
デルタ電子（Delta Electronics, Inc.）
1971年創業のデルタ電子は、スイッチング電源や熱管理製品で世界をリードする企業です。台湾に本社を構え、産業オートメーション、通信機器、データセンター、再生可能エネルギー、自動車電子 など多分野に事業を展開。近年は、半導体電源・冷却ソリューションの開発にも注力しており、性能・省エネの両面で競争力を持ちます。「革新・クリーン・省エネ」を企業理念に掲げ、持続可能なエネルギー技術の推進に取り組んでいます。

Noda RF Technologies Co., Ltd.（NRF）
2002年に設立されたNRFは、大阪に本社を置き、半導体製造装置向けRF電源システムの設計・製造を専門としています。同社の製品は、エッチングやCVD、PVDなどの重要プロセスに使用され、液晶パネルなど他産業にも展開中です。高い技術力とカスタマイズ対応力で知られ、日本国内外の主要半導体メーカーから高い評価を得ています。

今後の見通し
今回の買収は2025年10月29日に正式発表され、今後は関係当局の承認取得や契約条件の履行を経て完了予定です。取引完了後、デルタ電子はNRFの人材と技術資源を統合し、次世代RF電源の開発を加速させる方針です。また、両社の協力により、グローバルな半導体製造装置市場への展開をさらに強化していく見込みです。

総じて、本件買収はデルタ電子の半導体電源事業の拡張と市場競争力の向上につながる重要な戦略的ステップであり、顧客と株主双方にとって長期的な価値を創出するものと期待されています。