2025.04.10

精密部品大手のミネベアミツミ株式会社(東京証券取引所:6479、以下「ミネベアミツミ」)は、温度センサーの世界的メーカーである芝浦電子株式会社(東京証券取引所:6957、以下「芝浦電子」)に対して株式公開買付け(TOB)を実施すると発表しました。芝浦電子は台湾の電子部品メーカーYAGEO Corporation(台湾証券取引所: 2327、以下「YAGEO」)による敵対的買収提案を拒否し、ミネベアミツミの買収案に賛同。買収が成立すれば、芝浦電子はミネベアミツミの完全子会社となり、上場を廃止する予定です。

今回の買収劇は、日本企業による国内技術の防衛という側面を持つと同時に、グローバル競争に向けた成長戦略の一環でもあります。YAGEOが今後価格を引き上げるかどうかが注目される中、芝浦電子をめぐる動向からは、センサー市場の競争の激化とその重要性が改めて浮き彫りになっています。

M&Aの目的
ミネベアミツミは、ベアリング、モーター、センサーなどを主力とする精密部品の大手企業で、2024年にはグループ売上高が1.4兆円に達しています。グローバル展開を進める中で、高度なセンシング技術を有するパートナーとの連携を強化することが課題となっていました。

本M&Aの目的は以下の3点に集約されます:
  • 技術革新と高付加価値製品の共同開発
  • ミネベアミツミの既存販路を活かしたグローバル展開
  • 製造・営業オペレーションの効率化

芝浦電子はサーミスタ型温度センサーの分野で世界トップシェアを誇っており、その高度な技術を日本に留めつつ、ミネベアミツミの製品群とのシナジーを最大限に引き出すことが期待されています。芝浦電子側も、YAGEOの汎用製品に対して、自社の強みであるカスタム製品を重視するミネベアミツミを、より適したパートナーと判断しました。

買収条件
買付価格:1株あたり4,500円
買付予定株数:発行済み株式の96%(15,015,111株)
最低成立ライン:50.01%(7,539,900株)
買収総額:最大675億円
TOB成立後、芝浦電子は上場廃止予定
投資ファンドAdvantage Partnersが買収資金の一部を支援し、5%の株式を取得予定

日程
2025年2月5日:YAGEOが5月7日からのTOBを表明
2025年4月10日:ミネベアミツミがTOB発表
2025年4月23日:ミネベアミツミのTOB開始予定日
2025年5月7日:YAGEOによるTOB開始予定日